「あ、そうだ! ダーツしよ、ダーツ! 浅桜くんってダーツもできる?」
瑞花が両手を軽快に鳴らした。その音に思わず肩がびくっと震える。
「ん? あぁ、できるよ。ダーツライブって機種が店にあるんだ。それで練習してる」
「じゃあダーツも緋莉に教えてあげてよ。わたしらも最近始めたばっかでよくわかんないからさ。ね、皆渡くん」
「お、おう、そうだな。んじゃまあダーツでもやってみるか」
皆渡くんも察してくれたのか、すぐに話題を変えてくれた。浅桜くんが一瞬訝しげな顔をしてわたしを一瞥すると、頭を掻くしぐさを見せる。けれど、わたしは顔を髪で隠すようにして気づかないふりをした。
「じゃあ行こうか、立華。やってみるとダーツも楽しいよ」
顔を上げると浅桜くんの爽やかな笑顔があった。それを見て、また胸が大きく跳ねる。これで何度目だろうか。
歩き始めると、皆渡くんがこっそりわたしに向かって申し訳なさそうに顔の前で手を合わせてくれたので、わたしもこっそり笑顔を返した。