営業とマーケの不仲説はよく聞く話だ。
マーケは市場の状況をいち早く理解し、そのデータをもとに戦略を練り、見込み客を獲得する。そして営業は、その見込み客にアプローチをして商談を進め、成約に繋げる。
つまり、互いの連携が絶対必須になる。初心者の俺でもわかる話だ。
なのに、その連携が全く出来ていない企業が多いと聞く。
商談が失敗に終われば、営業はマーケに責任転嫁しようとする。成約に繋がる仕事をマーケがしていないと、不平不満を漏らす。
そしてマーケは、営業のアプローチが足りないからだと反論する。
そうやって溝が深まる事態を放置した結果、両者の確執を生んでしまった。
でも、それはあくまでも他社の話だ。
アジュールは比較的、どの部門も連携は取れているように見える。マーケの社員と情報交換をする機会も多いが、大体の場合は好意的に接してくれるし、壁を感じたことは一度もない。
でも水森は、何かしら感じるところがあるのかもしれない。
でなければ、こんな内情を俺に伝えたりはしないだろう。
『いつか私も、何かデカイことがしたいと思う日がくるかもしれない』
あの言葉は、この問題を示唆しての発言だったのだろうか。