「まさか瀬那が動くとはねえ。
大丈夫なのか? 一条院達は黙認してたんだろう?
虐めを止めたりしたら何かしてこないか?」
「それは大丈夫と思う。
和泉さんが言ってたのは静かにしろってことだけだもん。
静かにしてたら虐めをしようが、虐めを止めようがどうでも良いと思う」
「それならいいが、何かあったら言いにこいよ」
「うん、ありがとう」
生徒会長が味方にいるなら心強いと、瀬那はにこりと微笑んだ。
「それはそうと、あの動画ってどうやって撮ったの?
隠し撮りみたいだったけど」
「ああ、あれ?
あれは新聞部の部長さんに相談したの」
「ああ」
美玲と翔は納得したようだった。
新聞部の部長は瀬那の親衛隊に加入している。
部員の中にも親衛隊に入っている人がいたので、証拠を撮りたいと瀬那が相談したら快く引き受けてくれたのだ。
「そうそう、忘れるところだった。
美玲、こっち向いて」
「何?」
「はい、笑って」
モデルのさがか、言われた通り完璧な笑顔を浮かべた美玲をスマホでパシャリと撮影する。
「えっ、何、瀬那ちゃん?」
「新聞部の部長さんにね、今回の報酬として美玲と私の写真を送ることになってるのよ」
続いて瀬那は自分の写真も撮ると、それを新聞部の部長に送信した。
「酷い瀬那ちゃん、私を売ったのね」
「美玲は副会長でしょう。
虐め撲滅のためよ、生徒に奉仕しないと」
「うう~」
そう言われては美玲も文句が言えないようだ。