「高坂さんもそうだけど、神崎さんにも親衛隊がいるんだよ」
自社ブランドのモデルも務める、社交的で華やかな美しさを持つ美玲。
一方。一度も染めたことがないだろう美しい黒いストレートの髪に、柔らかな雰囲気。
おとなしく白が似合いそうな儚げな美しさを持つ瀬那。
よく図書室にいることから、図書室の天使と密かに呼ばれていたりする。
学校内でも特に人気の高い二人には、彼女達のファンで結成された親衛隊なるものが存在する。
「その親衛隊が決めたいくつかの決まり事があるんだ。
その中でも特に守らないといけない決まりが鉄の掟。
それが、神崎瀬那が読書をしている時は、騒がない、話し掛けない。
そして昼休みには非常階段には行かない。
その二つは親衛隊以外にも守るようにって周知されているんだよ」
「へえ、つまり愛菜はその読書中に話しかけて、鉄の掟を破ったってこもか」
「そう言うこと。破ったら親衛隊から警告がされるって話。
まあ、愛菜は俺達と一緒にいるから大丈夫だと思うけど、今後も掟を破るようならなにかしらの対応をしてくるかもね」
「返り討ちにすれば良くね?」
総司は簡単に言うが、そうはいかないのだ。
「親衛隊の中には、学校内に留まらない影響力を持つ奴もたくさんいるんだ。
それにノワールの人間も親衛隊と掛け持ちしている奴がいるしね。
なにより生徒会が厄介だ。
神崎さんとは仲が良いようだし、彼女に何かあれば動いてくるよ」
生徒会はこの学校で強い発言力がある。
教師でも生徒会の決定には逆らえないほどに。
それは、学校を作っていくのは生徒という、この学校を作った一条院家の方針があればこそなのだが、そうでなくとも生徒会の人気は絶大で、瑠依達でも下手に手は出せない。