沖田くんの様子だと、たぶん真木くんは何かとんでもないことを言ったような気がしてならない。少し時間は過ぎてしまったけれど、あまりにもとんでもないのなら、謝っておいたほうが良いだろう。しかし真木くんは「あー……」と空を仰いで、首をこてんと傾げた。

「覚えてないや……」

「ええ、真木くん変なこと言ってないよね?」

「わかんない……」

「わかんないって駄目だよ!」

「じゃあ……ないしょ」

 真木くんは、うっそりと笑う。その様子がなんだかいつも子供っぽい彼らしくなくて、でもやっぱり彼らしいと感じて、私は脱力したのだった。