「ま、混ぜるのは別に問題ないです……二つ買えば……」
「いや違うし! シロップで買うなら、シロップ同士混ぜて新しい味作れるから、それだけメニュー増やせるんじゃね?」
「あ、確かに……」
男子は「俺ソーダ二杯買わされるとこだったんだけど!」とおどけ始める。「お前の説明が足りなすぎるだけだろ」と突っ込まれ、教室でどっと笑いが起きた。これは、シロップソーダはオッケーということだろうか? 一応、「大丈夫っぽい……ですか?」ともう一度問いかけると、「賛成」と和田さんや吉沢さんが手を挙げる。女の子たちは皆慌てて手を上げ始めた。
「予算をなるべく抑えたいので、クラスの皆のいらない服を集めて、衣装や内装に使う布として利用したいです。ロッカーの後ろにダンボールを置いておくので、赤と黒、水色と白のいらない服を入れてもらえると助かります……!」
頭を下げて、私は自分の席へと戻った。ふと真木くんの姿がないことに気づいて、どこかで倒れているのかとどきりとすると、彼は後ろでダンボールに何かを書いていた。
「真木くん、どうしたの?」
「忘れちゃうから……お絵かき……」
真木くんは油性ペンでダンボールに「みずいろ」「あか」「くろ」「しろ」と書いてくれていた。お礼を言うと、欠伸をしながら首を上下に動かし、自分の席について眠り始める。今日は一時間目も二時間目も体育じゃないから、着替える為に起こさなくて大丈夫な日だ。クラスの前で発言することも終わったし、ほっと一息ついていると、同じクラスの田淵さんが「園村さん」と声をかけてきた。