真木くんは、脱力し、やる気を失ってはいるけれど、たまに頑固なところがある。たまたま見つけたクレーンゲームのぬいぐるみを気にして、その場から動かずじっと見つめたり、公園の砂場を延々と木の枝で掘ったりして、止めてもやめなかったり。
まれに見せるその行動力が、彼にとってどんな意味があるのかわからないものの、大切なことなんだろうと、授業と危険に関わらない時以外は見守ることにしていた。でも――、
深夜に目がさめて、お腹の上になにかあると思っていたら、真木くんが寝ていた。
私はひとまず彼をなんとか引っ張りベッドに寝かせると、幼稚園の頃していたみたいに一緒のふとんをかけた。おそらく寒くなって入ってきたか、明日寝坊しないよう予め私の部屋で寝ようとして力尽きたかのどちらかだろう。
なんだか異常に喉が乾いている気がして、私はサイドテーブルに置いていたコップの水をひとくち飲んだ。私は真木くんのお腹をぽんぽんしながら、彼のふとんをかけなおす。
真木くんが誘拐から開放されてすぐの頃、悪夢を見たり、心がどうにもならなくなったりして、彼はよく夜中泣き叫んでいた。そしてそれから一年から二年くらいの間は、大体四日に一度のペースで夜驚症が出ていた。ただただ泣いていることもあれば、叫びだしてしまったり。そして彼の両親が彼の部屋に行くより、私がベランダを伝った方が早く駆けつけられるからと、彼が泣いている時はよくベランダを伝っていた。
でも、大きくなっていくにつれて真木くんは自分から私の部屋に来るようになった気がする。ふと夜中に目が覚めると、私の部屋で一緒に寝ていることが増えてきた。自分で症状をコントロール出来ているのかな、と思う反面、夜中にベランダを伝う真木くんを思うと、落ちてしまわないかと不安を覚える。真木くんが二階から落っこちてしまうくらいなら最初から一緒に寝よう……とも思うけど、流石にもう高校生同士だし、それはどうかな……と、悩ましい。
まれに見せるその行動力が、彼にとってどんな意味があるのかわからないものの、大切なことなんだろうと、授業と危険に関わらない時以外は見守ることにしていた。でも――、
深夜に目がさめて、お腹の上になにかあると思っていたら、真木くんが寝ていた。
私はひとまず彼をなんとか引っ張りベッドに寝かせると、幼稚園の頃していたみたいに一緒のふとんをかけた。おそらく寒くなって入ってきたか、明日寝坊しないよう予め私の部屋で寝ようとして力尽きたかのどちらかだろう。
なんだか異常に喉が乾いている気がして、私はサイドテーブルに置いていたコップの水をひとくち飲んだ。私は真木くんのお腹をぽんぽんしながら、彼のふとんをかけなおす。
真木くんが誘拐から開放されてすぐの頃、悪夢を見たり、心がどうにもならなくなったりして、彼はよく夜中泣き叫んでいた。そしてそれから一年から二年くらいの間は、大体四日に一度のペースで夜驚症が出ていた。ただただ泣いていることもあれば、叫びだしてしまったり。そして彼の両親が彼の部屋に行くより、私がベランダを伝った方が早く駆けつけられるからと、彼が泣いている時はよくベランダを伝っていた。
でも、大きくなっていくにつれて真木くんは自分から私の部屋に来るようになった気がする。ふと夜中に目が覚めると、私の部屋で一緒に寝ていることが増えてきた。自分で症状をコントロール出来ているのかな、と思う反面、夜中にベランダを伝う真木くんを思うと、落ちてしまわないかと不安を覚える。真木くんが二階から落っこちてしまうくらいなら最初から一緒に寝よう……とも思うけど、流石にもう高校生同士だし、それはどうかな……と、悩ましい。