「すごいですね、生きてるみたい……」

「今度のコンクールに出すんだよ。ちょうど文化祭の次の日が締め切りなんだ」

 何度も何度も執拗に細密に塗られた肌は、まるで本物みたいに見えてしまう。女の人の瞳は閉じられているけれど、今にも目を見開いて、こちらに迫ってきそうな気がした。

「で、沖田のことなんだが……園村お前、家は空木町の方で使ってる上り線だよな? 帰りに、ちょっとあいつの家まで様子を見に行ってもらいたいんだが……」

「え……」

「あいつ、休むようになった日の前日にしばらく休むって連絡来たんだけどさ、今日金曜日だろ? 電話しても出ないから先生が行きたいんだけど、会議あってなぁ。園村、悪いんだけど家にいるかだけでもちょっと見てきてくれないか?」

 先生はすごく困った様子だ。私も文化祭のことで話もある。それに、やっぱりお兄さんのことを知っている以上心配だ。他の誰かが行くより私が行った方がいいかもしれない。あんまり人に知られたくないだろうし……。

「分かりました。早速今日の放課後、様子を見てこようと思います」

「ほんとか! じゃあこれ、住所のメモ渡しておくな! 夜道気をつけろよ? 」

 だいちゃん先生は私にメモを渡すと、笑みを浮かべた。メモには私の家と結構近い住所が書かれている。休み始める前日に連絡が来たということは、文化祭委員についての話をした日から連絡が取れていないということだ。いったいどうしているんだろう……。不安に思いながら美術室を後にすると、扉から出たすぐのところで真木くんがしゃがみこんでいた。

「ま、真木くん!?」

「ああ、めーちゃん。おはよ……」

 真木くんがゆったりとした動作で立ち上がり、大きな欠伸をする。「迎えに来てくれたの?」と問いかけると、彼は頷いた。