もしかしたらそうかもしれない。
いやでも、学ランなんて、ありふれてるし。入学式の日程とか、公立は大して変わらないだろうし。
「一応確認なんですけど、鈴木さんどこで降りるんですか?」
「なんだ? 昨日は一人でちゃんと行ってただろ。この次の駅だぞ」
「あああ……」
確定。彼と私は同じ高校だ。
膝から崩れ落ちそうになった私に、彼は呑気な声で「どうした」と問うてくる。
「どうもこうもないです、学校同じならそう言って下さいよ!」
「言っただろ」
「言ってないです、一言も!」
電車内、控えめな声量で精一杯抗議した。
彼は私を一瞥すると、険しい顔で口を開く。
「……言ったぞ」
「何ですかその間は」
「いま火星人の権限を持ってお前の記憶を改ざんしておいた」
「急に実力行使してこないで下さい」
参った。家はおろか、学校も一緒だなんて。
学年が違うのがせめてもの救いだ。こんな頭のネジがぶっ飛んだ人と四六時中いるようでは、とてもじゃないが身がもたない。
「まあそんなに照れなくてもいいぞ。嬉しいのは十分伝わった」
「どこをどう見たら照れてるように見えるんですか」
花の高校生活は、早くも先行きが不安だ。