言い当てられ、う、と返事に困った。
 確かにグミは好きじゃない。食感がどうしても駄目で受け付けないのだ。

 でもまさかそれを、先輩に指摘されるとは。
 彼は飴やグミの類をいつも勉強の傍らつまんでいる。前に一度グミの袋を「食うか」と勧められて断ったことがあった。

 本格的に流星群が出現し始め、自然と穏やかな沈黙が訪れる。
 深いネイビーを切り裂くように、細く長く下っては消えゆく光線。それを五つほど数えたところで、我に返った。


「これって、流れ星に入るんですかね」


 私の質問に、先輩は「入るだろ」と間髪入れず答える。


「流星群は流れ星の群れだ。本質的にはどっちも変わらない」

「じゃあ、願い事します」

「ああ、しとけ。今なら何個でもし放題だぞ」


 陳腐なやり取りかもしれない。
 それでも、占いだとか神様だとか、私たちはどうしても縋ってしまう。自分ではどうにもできないことなら、なおさら。

 両手を組んで、瞼を閉じる。

 お母さんが元気に仕事をこなせますように。無事にアメリカから帰ってこれますように。それから――。


「先輩」


 やめた。今ここにいる人には、空に頼むんじゃなくて、きちんと自分で確かめたい。


「そろそろ、先輩のことを教えてくれませんか」