しみじみと述べるチョコに頷いて、私は買ってきたものを冷蔵庫にしまっていく。
「あ、そうそう。私も華に貸そうと思って漫画持ってきたのよ」
「だから、こないだいいって言ったじゃん」
「もーっ、今回のは全年齢に優しい少女漫画だから! これとかどう? 今度映画化するんだけど」
粗方しまい終えて振り返ると、チョコが一冊の漫画本を掲げていた。
ソファを占領している先輩たちの後ろ、ダイニングテーブルに移動して、チョコに勧められるがままページを捲る。
「……え、何、これ」
「何って何?」
思わず顔を引きつらせた私に、チョコが聞き返してきた。
「いや、このヒーローおかしくない? ヒロインに出会って、初っ端キスって」
「やだぁ! それがいいんじゃーん! 俺様っていうの? ちょっと強引な感じ!」
「ええ……」
強引って、つまりそれ同意なしじゃん。イケメンだから許されるってことだろうか。とんだ自惚れヒーローだ。
特に感情移入もできないまま適当に流し読みしていると、チョコが「ここ!」と唐突に叫び声をあげる。
「このシーンが胸キュンすぎるって話題になったの! ね、かっこいいと思わない?」