保健室へ向かうと、すでに中から声がした。
何人か三日月さんのお見舞いにでも来てるのかな。
今、僕が入って行ったら完全に鉢合わせする。
そしたら三日月さんのお見舞いどころではなくなるだろう。
だから僕は、隣のコピー室へと隠れる。
──キーンコーンカーンコーン…
タイミングよく、予鈴が鳴った。
すると、案の定、保健室の中から数人の男子が出てきた。その中には、藍原もいた。
大方、保険医の沢田先生に『授業に行きなさい』って促されたんだろうな。
渋々、嫌そうに出てきたって顔に書いてある。
ほんとは、僕だって早く授業に行かなければならないけど。
彼らの姿が見えなくなるのを確認して。
──コンコンッ
保健室のドアを叩いた。
「はい、どうぞー」
「失礼します」
逃げるように保健室へと入った。
「あら、もうすぐ授業よ?」
すると、先生は僕にそう告げる。
けれど、初めから答えは決まっていて。
「すみません、お腹が痛くて……少しだけ横になってもいいですか?」
お腹を抑えて体調が悪いフリをすると、あら大丈夫?と僕に近づいた。
普段、授業をサボったりしない僕が小さな嘘をついたところで先生はそれを嘘だと思ったりしない。