何が原因かなんてそんなの僕にも分からないけれど、
「…気づいたらそうなってた」
「なんで?」
「そんなの僕に聞かれても分からない」
喧嘩をしていたとかじゃないし。
ただ単に暗い僕の存在が鬱陶しいんじゃないのかな。
「じゃあ、藍原くんはもしかしたら向葵くんと仲良くなりたいのかもね!」
なんて唐突に告げるから、「…は?」思わず声がもれる。
藍原が僕と友達になりたい……?
いやいや、ツッコミどころ満載だろ。
「なんで、そーなるんだよ」
「だってさ、嫌な人ほど目につくって言うでしょ? でもそれって少しでも向葵くんのことを気になってるからだと思うの。だから藍原くんは、きっと友達になりたいんだと思うよ!」
まくし立てられた言葉のほとんどに理解できなかった。
だって、藍原から放たれるオーラは僕と友達になりたい、なんてものじゃない。
三日月さんに話すな、関わるなっていう嫉妬がほとんどで。
「……そんなわけないでしょ」
「どうして?」
「どうしても」
これ以上、藍原に睨まれるのだけは勘弁だった僕は、
「頼むから人前で、特に藍原の前で話しかけるのはやめて」
彼女に懇願した。
「なんで藍原くんだけはダメなの?」