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「あのさぁ、ほんとああいうのやめて」
朝よりは、弱まった雨。
帰り道、傘をさしながら三日月さんと歩く。
「ああいうのって?」
「人前で声かけないでってこと」
そう言うと、ああ、と思い出したように声をあげると、
「だって、あからさまに声かけるなオーラ出してたから、逆に声かけたくなっちゃって」
「……なに。逆にって」
「そういうときって無性に声かけたくなっちゃうでしょ?」
「ならないよ。そんなの三日月さんだけでしょ」
なに、みんな当然みたいなテンションで言ってんの。
それに三日月さんのせいで、
「藍原にまた目つけられてるし」
「藍原くん?」
なんで、とでも言いたげな表情で。
三日月さんのことが好きだから、なんてさすがに言うことができなかったので、
「話してる途中に邪魔されたからじゃないの」
主に、三日月さんのせいだけど。
「邪魔って茅影くんが?」
「そうさせたのは、きみだから」
「なんで?」
「だから、僕にわざわざ声かけるからだろ。何の本読んでるのって」
無視すればよかったものの、わざとらしく声なんてかけるから。
「さっきの帰りだってすっごい睨んでたんだからな」
「藍原くんと仲悪いの?」