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今日は朝から、土砂降りの雨。
そのせいで普段から憂鬱な気持ちが、さらに跳ね上がる。
空の色は、どんよりとした灰色で、とめどない雨粒が空から降り注ぐ。
そのせいで外に出られない人たちも、教室に居ざるを得なくて。
そんな人たちの中、僕はいつも教室の隅で本を読んでいる。
だから、昔から雨は嫌いだ。
僕が、ひとりぼっちだということをみんなに主張しているみたいな気持ちになるから。
新しく図書館で借りた本を片手に、廊下の窓から外を見て、そんな嫌な気持ちに浸っていた。
「マジでー?」
突然、聞き覚えのある声がして、おもむろに視線を向ければ、教室の入り口の前で、三日月さんに話しかけていた藍原がいた。
うーわ、懲りないやつだなぁ。
ていうか、よっぽど三日月さんのこと好きなんだ……。
でも、なにも教室の前で話さなくてもいいじゃん。
そこ、通り抜けないと隣の僕のクラスに行けないんだけど。
……あーあ。ほんと、タイミング悪い。
きっと、藍原と僕は相性が悪いんだ。こうなる運命なんだよ。
もう、気にせず廊下の端っこ歩こう。
重たいため息一つついて、本を片手に歩き出す。まだ僕のことに気づいている様子はない。
このまま教室まで無事にたどりついてくれ。