「え、またそれ? せっかく屋上に大の字で寝転がってるのに被写体なかったら何も意味なくない?」

「じゃあ自分だけ撮ればいいじゃん」


何も、僕を撮らなくても。

それに、


「制服写ってたら学校名バレるだろ」

「大丈夫。それは、ちゃーんと加工するから問題ないよ」


と、言って親指を立ててウインクするけれど、


「僕が問題あるんだって」

「そこをなんとか!」


お願い、と頭を下げる三日月さん。


「いや、無理だって」

「ほんの少しでいいの! 腕でも袖でも髪の毛でもちょびっとだけで!」


どこまでも食い下がる三日月さんの顔を見て、ここから逃げるのは無理だと観念した僕は、はあ、と盛大にため息をついて、


「……分かった」


渋々、それを承諾する。


「ほんと! いいの?!」

「でも、ちゃんと学校がバレないように加工してよね」

「うん、もちろん! 約束する!」


どうしても彼女には言葉で敵わないらしい。


それからそのあと撮った写真は、大の字で寝転ぶ僕と三日月さんがお互い見切れた状態で。

べつにわざわざ僕まで映さなくてもよかったんじゃないかと、そう思った。