少し距離を空けてそこに寝転ぶと、視界いっぱいに広がる淡いスカイブルー。
柔らかそうな白い雲が、ゆっくりとゆっくりと動いているように見える。
僕は、こんなふうに空を見上げることがなかった。
「なんか、不思議な気分」
思わず口からもれた声に、え、と困惑した声をもらしながら顔だけを僕の方へ向けた彼女。
「授業中なのに僕たちだけがこんなことしてるじゃん。本来ならいけないことなのに……」
その先の言葉を言ってしまうと、今までの真面目な僕じゃなくなってしまうんじゃないかと口ごもっていると、
「すごく気持ちが清々しい?」
僕の心を一発で当てた彼女の声に、どきっとしながらも、「…うん」と頷いた僕。
さっきまであまり乗り気ではなかったし、授業をサボることが僕の中では許されるべきじゃないものだと思っていたから。
それなのに、
「こうやって空を見上げてるからじゃない?」
僕の顔を見てクスッと笑ったあと、だってさ、と続けると、
「人ってどこかに寝転んで空を見上げることなんか普段は滅多にないでしょ。いつも何かと向き合って、それが自分のストレスにもなってるわけだし」
確かに普段の生活でストレスを感じることばかりな気がして、あー、と納得していると。