そんな一緒にいてたまるかっ。

それに僕は、今でも先生に見つかるんじゃないかと不安しかない。

最悪、藍原に見つかりでもすれば、僕が文句言われるんだからな。


「……不思議って、自分で呼んでおいてよく言うよ」


ボソッと呟いた小さな声は、彼女には届いていなくて、


「でもさぁ、こういうのなんかいいよね。同じ時間を共有してるっていうのかな。向葵くんもそう思わない?」

「僕はべつに…」


全然、思わない。

むしろ、一方的に連れて来られたというか、脅迫まがいなメッセージもらったら誰だって嫌でも来るだろ。


「なんだ。てっきり同じ気持ちでいてもらえてると思ったのにー」


唇を尖らせて拗ねる彼女は、世界は自分中心に回っているのかとさえ思ってしまう。


閉めた扉の前に背を預けた僕は、


「…それで、授業中にここに呼んだのって何か理由があるんでしょ」


尋ねると、ああうん、と頷いて、くるりと僕の方へ振り向いた。


「私ね、一度屋上で大の字で寝転がってみたいと思ってたの。何も考えずに、ぼーっと空を見上げて過ごしてみたいんだ」


屋上は風が強くて、彼女の髪の毛を攫う。心地良さそうにユラユラと揺れる。


「一度くらいしたことあるんじゃないの?」


だって、彼女は目立つグループに所属しているはずで。