あー……もう、なんなんだよ……。
こんなことで照れる僕なんて、僕らしくない。
ていうか、こんな自分なんて知らないし。
「よし! じゃあ撮るから、しばらくジッとしててね」
僕の手に四つ葉のクローバーを持っている自分の手を近づける。
そのせいで、おのずと近づく距離が、僕の鼓動を加速させた。
──カシャっ
わずかにライトが光った。
「も、もういい……?」
「あ、うん。大丈夫!」
即座に距離をとると、気づかれないように、ふう、と長いため息を落とす。
いまだ鳴り止まない鼓動が、耳までこだまして、僕の体温を上昇させる。
「うん、いい感じに撮れてる! …あっ、向葵くんも見てみる?」
尋ねられるけれど、今それどころじゃなかった僕は、
「いや、いい…」
「そう? もったいないなぁ」
僕とは対照的に四つ葉のクローバーに夢中な彼女。
僕だけが、全部意識してる。
僕だけが、緊張してる。
それが、すごく、すごく嫌で。
「……顔、あっつ」
ボソッと呟いた僕。
この陽照りのせいなのか、彼女のせいなのか、どちらなのか分からなかったけれど、
しばらくこの熱は、下がりそうになかった。