「……四つ葉のクローバーだ」


親指と人差し指でそれを摘むと、「えっ、ほんと?!」と慌てたように僕の方へ駆け寄って来る。


僕が持っているクローバーを見て、ほんとだー、と言って満面の笑みを浮かべる。


「ちょ…近っ…!」


慌てて顔を引くと、バランスを崩して芝生の上に尻もちをついた。

自分が原因だとも気づかずにキョトンとしながら、どうしたの、と尋ねられる。


「べ、べつに……」


フイッと顔を逸らすと、ふーんそっか、と軽い返事が返ってきたあと、


「でもさ、二人とも見つかってよかったね!」


彼女の圧に押され気味になった僕は、「うん、まぁ…」と頷くけれど、実際はどっちでもよかった。


「それより四つ葉のクローバーに何お願い事しようかな〜」


なんて言いながら、クローバーを見つめるから、思わず、え、と声をもらした。


「……お願いするの?」

「そうだよ。見つけたからには何かお願いしなきゃもったいないじゃん」


当然かのように告げられるから、そういうものなんだと納得する。

そもそも四つ葉のクローバーって、葉っぱが一枚多いだけじゃん。
それなのにそれに願い事をするなんて、三日月さんも乙女なところあるんだなぁ。


「何お願いするの?」


そう尋ねると、私はねー、とクローバーを見つめて頬を緩めながら、


「いつまでも楽しくいられますように、かな」