それから10分黙々と探し続けるけれど、一向に見つからない。
「ん〜、ないなぁ……」
汗を拭きながら河川敷に広がる芝の上を見る姿は、すごく一生懸命に見えた。
「そっちはある?」
「いや、まだ…」
「そっかぁ〜……」
本気で落ち込む三日月さん。
こんな河川敷で四つ葉のクローバーなんて、そうそう簡単に見つかるはずない。
「もう、諦めたら?」
「あともう少しだけ探してみる」
けれど、探す手だけは止めない彼女。
僕なら、すぐに諦める。
見つからないものに時間をかけたって、それは無駄な時間にしかならない。
どうしてそこまで四つ葉のクローバーごときで、必死になるのか僕には理解できなかった。
だから今もなかば諦めで、僕の探す手は止まっていた。
なんならもう探すのをやめて帰ってしまいたいけれど。
「──あっ」
突然声が聞こえて視線を向ければ、手を掲げて立ち上がっていた。
僕に何か言いたそうに笑みを浮かべたまま、飛び跳ねる彼女。
「な、なに……」
「見つけたの! クローバー!」
掲げている手の先には、どうやら四つ葉のクローバーがあるらしい。
「…へぇ、よかったじゃん」
なんだ。じゃあ、僕は必要なかったな。
一気に脱力して、足元へと視線を落とす。
「……あ」
「どうしたの?」
両足の間にあるそれは、間違いなく。