* * *

学校が終わって、いつものように裏門で待ち合わせしたあと、連れて来られた場所は近くの河川敷。


「…それで今日は何するの」

「今日はね、四つ葉のクローバーを探そうと思って!」


僕とは比べ物にならないくらいのハイテンションで、そんな無理難題を告げられて、「はぁ?」と思わず毒を吐く。


すると、私ね、と河川敷を見下ろしたあと、


「まだ一度も見つけたことないの。ほら、四つ葉のクローバーって幸福って意味があるでしょ? だからどうしても見つけてみたくて!」


嬉しそうに悲しそうな顔をして言葉を紡ぐ。

その表情が少し気になったけれど、


「……ふーん、そうなんだ」


気づかないフリをして追求はしなかった。

そしたら、全然興味なさそう、と言って笑った。

だって確かに興味なんか全然なかったから。


「向葵くんは、四つ葉のクローバー見つけてみたいって思ったことないの?」

「ないよ」


そんなの、一度だってない。

それに、周りから暗い影が薄いと言われてる僕が、


「河川敷で放課後一人でクローバー探してたら、それこそ影が薄いってからかわれるだろ」


河川敷にある階段をトントンッと降りていると、そんなことないと思うけどなぁ、と僕のあとをついて降りる。