「えっ! はっ……?」


突然現れた言葉に、焦ったと同時に少しだけ赤面した。

そしたら、僕の顔を見てふっ、と笑ったあと、


「壁が崩れた感じがするっつーか、遠慮されてないんだなと思って。もちろんいい意味でだよ!」

「いやっ、そーじゃなくて…」


僕が焦っていることに「ん?」と首を傾げたあと、


「…あ、好きっつったこと? べつに色恋的な意味じゃないぞ。人としてって意味だから!」


ケラケラ笑って釘を刺されるから。


「知ってるっつーの…!」


思わず声をあげた。


でも、同性に人として好き、だなんて言われたことが初めてかもしれないと思った僕は、少しだけ心がむずむずした。

友達がいたらこんな感じなのかな、なんて思ったり。


だけど、そんな自分に鳥肌が立って、


「……僕に好きだなんて、小武も相当変わったやつだな」


ボソッと呟くと、ふはっ、と吹き出して笑ったあと、


「やっぱ俺、茅影のこと勘違いしてたみたい。全然暗くなんかないし、若干口悪くなるよな」


三日月さんと同じようなことを告げられる。


でも、と口を開くと、


「そんなとこも嫌いじゃないけどな」


まるで好き、と言われているみたいに感じて、自分を肯定されたのが少し嬉しく思ったのか顔が熱くなる。

だけど、素直にそれを受け入れる僕じゃない。


「……あっそ」


返事をしたあと、そっぽを向いたら、素直じゃないなー、と言って笑われた。

そんなくだらない会話が、なぜか、僕は嫌いじゃなかった。