ふいに、生ぬるい風が吹いて僕たちの間をすり抜ける。
それより、言いかけた彼女は、
「これ見て。加工してみたんだけど、結構よくない?」
ブランコで近づいて僕のそばまでやって来ると、スマホ画面を向けた。
ソーダ味のアイスが少し溶けた感じとか陽に当たって縁が透けて見える感じとか、空とのコントラストの一つ一つの色が加工したことによって、くっきりとはっきりと映って見えた。
「……うん、確かに」
すごく綺麗だと、思った。
写真で、まさかここまでできるとは予想していなかった僕の心は、少しだけ揺れた。
そんな僕に、ね、と同意して笑ったあと、
「向葵くんが提案してくれたおかげだよ!」
「……え?」
「だってそうじゃなかったら、私こんなこと思いつかなかったもん」
だから、と続けると、
「向葵くんのおかげ。ありがとう」
真っ直ぐ告げられた言葉は、僕の心の真ん中にぽつんっと落ちてきた。
まるでそれは、
優しい音が空から落ちて、水面はゆっくりと波打ったような感覚で。
僕の心が、彼女の言葉によって揺れたのだ。
だから、
「……べつに」
恥ずかしくてなって顔を逸らしたあと、無我夢中でアイスをかじった。
ほのかに広がるソーダの甘さと、冷たさが、じんわりと心の中に溶け込んだ──。