* * *

コンビニでアイス一つを購入した。

そして、僕たちがやって来た場所は近くの公園。

幼稚園児くらいの子どもたちが数人でわいわい声をあげながら砂場や滑り台で遊んでいるなか、僕と三日月さんはブランコへと腰掛けた。


「はい、これ」

「……なに?」


一つにくっついていたアイスを半分に折って、


「なにってアイス。半分こしたやつ」

「……どうも」


受け取るけれど、棒付きアイスをしばらく見つめた。

放課後に、女の子と公園のブランコに座ってアイスを食べるなんて初めてで、違和感しかなくて落ち着かない。


おまけに外は暑くて、額に汗が滲む。

……アイスでも食べて落ち着かせるか。


口を開けてアイスをかじろうとしたそのとき、


「──あっ、ちょっと待って!」


僕の手をぎゅっと掴んで静止した。


「……な、なに」

「写真撮るって言ったじゃん!」


ああ、そういえばそんなこと言ってたっけ。

でも早くしないとアイス溶けるんだけど。


「早く撮ってよ」


アイス食べたさに急かすと、おお〜?と座ったまま近寄って来た。


「もしかして向葵くんもやる気になってきたのかな〜?」

「そんなんじゃ、ないし」


ブランコの鎖はガシャンっと音を立てながら、


「ふーん、へえ、そっかぁ?」


僕の顔を見ながら、ニヤニヤ笑う。