「話はそれで終わり? だったら僕……」
自分の家への左折場所まで辿りつき、おもむろに曲がろうとするが、
「ちょっと待って!」
腕を掴まれて、途端に緊張して身体が硬直する。
「…ま、まだ、なにか?」
「今からアイス食べようよ!」
「……はい?」
アイス? 食べる? ……それってつまり、
「今から青春のための写真! 撮ろう!」
ほら、やっぱり、そうきたか。
でも、僕は、
「今日はちょっと用事が……」
目を逸らして、手を振り解こうとするが、そんなこと許してくれるはずもなく。
「善は急げ、って言うでしょ?」
この状況にそれは相応しくない、なんて思って抵抗を続けるが、言い訳はいいから、とグイッと腕を引っ張ると、
「だからほらっ、早くコンビニに行こう!」
どうやら僕に、選択肢など用意されていないようだった。