そのせいで壁にドンッとぶつかって背中を打った。
いきなりすぎるだろ。ていうか、自分早まりすぎたのか……?
「写真で撮るのが無理なの? それともSNSにアップするのが?」
「……どっちもだよ」
SNSなんて今このご時世使って当たり前の時代で、高校生なんかほとんどの人が利用してる。
そんなものに写真をアップしてしまえば、五秒もあればあっという間に知れ渡る。
そんなの僕の生活を壊すのと同じだ。
「あ、でもね、写真撮るって言っても顔は載せないよ。背景をバックに撮ったり風景とか……あとは手足が多少映り込むくらい」
「……手足もアウトでしょ」
第一、制服が映ってしまえば、そこから学校名がバレてしまうかもしれないし。
「そこは向葵くんがセーフにしてよ」
「なんで、僕が…」
「そうしなきゃ写真撮れないんだもん!」
胸の前に、パチンッと両手を合わせると、
「一生のお願い!」
まるで、小学生が使う言い訳を口にした。
どうせ今までも“一生のお願い”なんて使ってきたんだろうな。
でも、みんなから騒がれている彼女なら、
「そういう青春するの僕とじゃなければできるんじゃない」
ほんとにそう思ったから言うと、え、と声をもらした彼女は、真っ直ぐ僕を見据えた。