──ピコンッ

放課後、帰り支度を済ましたあと、まだ文庫本の上に置きっぱなしで机の中に入っていたスマホが鳴った。


『裏門に来てね!』


相手は、連絡先を交換した三日月さんだった。


できることならこのまま無視して帰路につきたい。
だって、三日月さんに関わるとロクなことがない気がするから。


けれど、“一緒に青春しよう”という言葉を承諾してしまった以上、三日月さんと関わらないというのは無理な気がする。

連絡先を交換した上に、このまま僕が裏門に行かなければ明日の朝一で教室に来かねない。


「あー……選択ミスったかな…」


思わず、ポツリと呟いた。

スマホ画面を開いて三〇秒。


できることなら、昨日に戻りたい。

そうすれば、三日月さんと関わらずに済む選択をできるかもしれない。


──僕は、盛大に後悔をした。