「よし、できた!」
なんにも考えてないケロッとした声が聞こえて、ハッとして隣へと視線を向ければ、
「向葵くん? できたよ」
「…あ、ああ、うん。どうも」
上擦った声が、少し情けなくなる。
赤くなった顔バレてないかな、意識すると、途端に体温が上昇する。
「じゃあ、これからはメッセージで呼び出すね!」
「……分かった」
スマホをポケットへと突っ込んだ。
六月の外は、結構暑くて、額に汗が滲んだ。
けれど、全然そんなことには気づかないくらい、彼女にばかり意識が向いていた。
男子の的である三日月さんと、なぜか、青春をすると約束してしまった僕。
果たして青春とは、どういうものなのか。
そして僕の学校生活は、これからどうなっていくのだろうか──。