恥ずかしくて、少しだけ体温が上昇する。

顔も熱くて、きっと赤くなってるんだろうな、そう思いながら僕は腕で顔を隠した。


「なんか向葵くんの反応って新鮮だなぁ」


ふふふっと楽しそうに笑う彼女。


「……それ、バカにしてんの?」

「やだなぁ。垢抜けてないところがすごくいいって褒めてるんじゃん」

「…」


どこが。そう思ったけれど、口をつぐんだ。

これ以上、何かを言ったところで彼女に言葉で勝てる気がしないと悟ったからだ。


「じゃあ、スマホちょっと見せて」


僕より少し背の低い彼女は、スマホの画面が見えないらしい。

仕方なくスマホ画面を彼女へと傾ける。


「ここをこうしてあーしてー」と言いながら僕のスマホに指で操作する。


そのせいで少しだけ近くなる距離。

思わず、一歩右へずれると、


「──あっ、ちょっと動かないで!」


僕の腕を掴んで、身動きができなくなる。

瞬間、ピシッと背筋が凍った。


「今、交換するところなんだからー」


スマホ画面に夢中の彼女は、僕との距離が近いことには気づいていないらしい。


僕だけが、一方的に緊張する。

どきどき、そわそわ、落ち着かない。

……くそっ。なんだよこれ。なんで僕だけが、こんなに焦ってるんだよ。