矢継ぎ早に現れた言葉に驚いて、息を呑むと、
「私、向葵くんのこと放っておかない」
もう一度、そう告げる。悲しそうに、今にも泣き出しそうな、そんな顔で。
一度、ふう、と息を吐いた彼女は、私ね、と続けると悲しそうに笑ったあと、
「どこまでも諦めの悪い女なの」
「……は?」
「だから、向葵くんが嫌だって言って逃げても、首を縦に振ってくれるまで追いかけるよ。それが、教室だとしても……」
それはまるで、脅迫にもとれる言葉。
けれど僕は、何も言い返せなかった。
「それでもいいなら私、この先も向葵くんを追いかけるけど」
「脅しかよ……」
「そう受け止めてもらっても構わないよ」
そう告げると、僕を見て、「どうする?」と微笑んだ彼女。
その脅迫めいた問いかけが、僕には、出口の見えないトンネルに入り込んでしまったのかと思った。
どうしよう。なんて答えよう。
前を見ても後ろを見ても、どこにも逃げ場なんてない。
そんな僕が導き出した、たった一つの答え。
それは──、
「……分かったよ」
それを受け入れるしかなかった。
言い返す言葉も、材料も何もなかったから。
「それって一緒に青春してもいいってこと?」
「……仕方なく、だから」
フイッと視線を逸らすと、分かってる、とクスッと笑った彼女。