「……羨ましい?」
スマホから僕へと視線を向ける。表情は相変わらず変わらないけれど、僕の言葉に反応してくれるだけで、それでよかった。
「僕は名前の通り影が薄くて暗い存在なのに、三日月さんは夜空を照らす月のように明るくて眩しくて、いつでも自分の気持ちを素直に言えて」
そんなきみを僕は、ずっと。
「嫉妬してた、三日月さんに」
「えっ……?」
「どうしてそんなに素直なんだろうって、どうしてそんなに明るくいられるんだろうって思ってた」
女の子に嫉妬してしまうなんて、なんて僕は情けないんだと思ったけれど。
「私、そんなに明るかったの……?」
「うん、すごく。羨ましいくらい、嫉妬してしまうくらい、三日月さんは誰よりも明るかった」
二人で見た、あの夜空の星よりも。
どんなものよりも一番輝いて見えて。
「そんなきみを、僕はいつのまにか追いかけていたんだ」
「私を……?」
出会って一ヶ月。付き纏われるようにして目まぐるしく僕の毎日が変化して、次第にそれは僕の心へと影響して。
彼女といるのが心地よいとか楽しいとか、そんなふうに思うようになって。
「僕は、三日月さんと約束したんだ」
──あの日、夕暮れの病室で。