「あつ……」
さっき買った飲料水でも飲もう。
袋の中から一つとって、パキッとキャップを回すと、一口、二口とのどに流し込む。
冷たい水がのどを潤していき、乾いた身体に染み渡る。
「はあー、生き返る」
普段は、暑いのを避けて体力を奪われないよう最低限の移動しかしなかった僕は、想像通り体力がない。
けれど、今日は余計な重たさがプラスされていた。おまけにスーパーにも寄って、かなり疲労した僕にとっては飲料水が最高においしく感じた。
さっきまでは、少し憂鬱な気持ちだったのに。
三日月さんの連絡があったからホッとして、肩の荷が下りたのかな?
行きよりも足取りが軽かった。
それは僕の感情が、三日月さんに左右されているみたいで。
……なんでだろう?
やっぱり特別な感情があるから?
でもこの僕だぞ? 色恋的なものとは一切無縁だった、この僕。
そんなやつがいきなり恋なんてするのか?
まさかな……。
自分に問いかけても、答えは見つからなくて。
「まあ、いーや」
首を振って、考えるのを中断した。
折り返し地点の病院までやって来た僕は、歩道の信号が青に変わるのを待った。
総合病院は、かなり大きい。だから、ありとあらゆる患者がここを求めてやって来る。
僕も、小さい頃は喘息持ちでよくここにお世話になったらしい。
僕自身は全然覚えてないけれど。