* * *

学校が終わって校舎を出たタイミングで、ピコンッとかばんの中のスマホが鳴る。

もしかして三日月さん?!

慌てた僕は、かばんを開けてスマホを確認する。

けれど、相手は三日月さんではなく。


【帰りにお醤油買って来てね】


母親からの頼まれ事だった。


「………なんだよ、もう」


紛らわしいなぁ。

【了解】とそれだけを送ると、三日月さんのメッセージを確認するけれど、既読さえもついていなかった。

やっぱり、かなり体調良くないんだ……。


お見舞いに行きたいけど、行ったら迷惑かもしれないし、そもそも家がどこなのかも分からないし。


「はーあ」


なんだこれ。まるで、好きな人からの連絡を待つ人の気分だ。


「……いやいや違うって!」


一人路上でノリツッコミをしてるから、周りにいた生徒は僕を見て、ひそひそと話す。

うわっ、最悪。絶対僕のこと変なやつだと思われた。


「くそっ……」


かばんの中にスマホを投げ込むと、近くのスーパーに向かった。