一緒に流星群を見に行ってから一週間が過ぎた。
七月五日。天気は晴れ。
あと少しもすれば、夏休みがやって来る。


頭の後ろで手を組みながら不貞腐れたような表情を浮かべて。


「今日も三日月さん休みだってよ」


と、藍原が教室に帰って来た。
おそらく三日月さんの教室に行ったんだろう。

確かに、僕も気になる。

だって金曜の夜に会ったのが僕だから、もしかしたら風邪をひいて寝込んでいるのかもしれないと思ったから、だ。

だから僕は昨日も一昨日も彼女にメッセージを送った。

けれど、全くの無反応で。


よっぽど体調が悪いからスマホさえ見れていない状態にある、と推測する。


「なぁ、おまえ何か聞いてねえ?」


突然、僕の前へやって来た藍原。


「……誰に聞いてるの?」

「茅影、おまえだっつーの!」


だったら最初から名前で呼べばいいのに。わざわざ“おまえ”だなんて意地悪なやつだ。


「さあ、僕には分からないけど……」

「ほんとか? なにも?」


ていうか、三日月さんのことを何で僕に聞くのかさっぱりだ。


「なにも知らない」


むしろ知りたいのは、僕の方だ。


「ふーん、あっそ」


不満そうに不貞腐れながら、壁に背を預ける。

だから僕は、文庫本を開いて周りをシャットアウトする。