なんて思っていると「でもね」ふいに、静かに落ちた声に耳を傾けていると、
「人間って生まれたときには、その人がどれくらい生きるのか寿命がすでに決まってるんだって」
「寿命が?」
「うん。だから私も向葵くんも、みんなも決まってるの。命の限りってのが」
なんだか急に壮絶な話になって頭が追いつけずに、静かに黙ったまま聞いていると。
「だからね、限りある命の中で私は一生懸命自分が生きた証を残したいの。こんなに楽しい人生だったんだよって、みんなに残したいの」
背中越しに伝わってくる思いが、やけにリアルめいていて。
三日月さんが僕に青春を一緒にしよう、と声をかけてきたのは、それが理由だったのかと思った。
でも、だからってなんで僕だったんだろう。
そんなことよりも、
「なんかそれ聞いてると、まるで三日月さんがいなくなる前提…みたいに聞こえるけど」
心の中に浮かんだ疑問を聞かずにはいられなかった。
僕は、たまらず空を見上げる。
そしたら次々と空を流れる流星群。夜空を照らす光になって。僕たちに道標を示してくれているようで。
「そんなわけないでしょ」
僕の肩を小突いた三日月さん。
いたっ、と言いながら視線を下げると、いつのまにか僕の背中から彼女の温もりは消えていた。