そのせいでピタリとくっつけられた背中は離れることはなく、後頭部までもコツンっと、僕に重なる。

だから僕は、気が気じゃなくなる。

流星群にも目を向けずに緊張していると「しいていうなら」と声が聞こえて、


「これからもっともっと楽しい人生でありますように、かな!」

「……へえ」

「へえ、って。もっと興味持ってよ! 向葵くんが聞いてきたんじゃん」


僕が聞いてきた? いやいや、違う。三日月さんが話しを振ってきたから、それを聞き返したまでで。僕が話しを振ったんじゃない。

なんて言い返すのも面倒くさかったので「あー、うんまあ…」と濁した。


でも、三日月さんならもっとべつのこと頼みそうだと思ったのに。

それに、


「そんなこと頼まなくても三日月さんならこれから楽しいことなんていくらでもあるでしょ」


だって、僕とは対照的に明るくて可愛いと人気者で、彼女の周りにはいつもたくさんの人がいる。


「それは人生だから分からないでしょ? だからこそお願いしようかなって思ったの」


人生って。そんな壮大なことお願いしたのか?

でもさ、そんなの。


「べつになにもすぐ死ぬんじゃないんだから」


いつも“超”がつくくらい前向きなのに、お願い事になると後ろ向きになるよなぁ。