背中越しに僕の緊張が伝わっちゃうんじゃないかと不安になる。
なればなるほど、さらに緊張して鼓動は加速する。負の連鎖。


「うわー、すごいなぁ」


三日月さんが声をもらしながら、パシャっと写真を撮る。

声の振動も、この場の空気も、体温も、息遣いも、まるですべて共有しているみたいで。

──僕は、どきどきが止まらなかった。


「ねぇ」


ふいに、彼女が僕に声をかける。


「……なに」


僕が、素っ気なく返事をすると、彼女が僕に全体重を預けるようにピタリと背中から頭までくっつけた。


「ちょ…っ」僕は、テンパって逃げようとしたけれど「向葵くんはさー」と声が聞こえてきたから逃げることはできなくて。


「流星群に何お願いしたい?」


こんな状況でそんなこと考えられるはずがなかった僕は、へ、と気の抜けた声をもらす。


「へ、って。流星群にお願いしないの?」

「いや、する…かもしれないけど」


でも、そんな状況じゃないし。

ていうかそもそも、


「お願いしたいのは三日月さんの方でしょ。何かお願い事するって言ってたじゃん」


放課後に散々ってほど聞かされた。そのせいで、今こうやって一緒に流星群を見るはめになってるんだけれど。


「あーうん。そんなこと言ったねえ」

「何か見つかったの?」


「そうだなぁ……」なんて言いながら、んー、と空を見上げて考え込む。