「私ね」言いかけた三日月さんは、空を見上げる。


「どうしてもこの流星群楽しみにしてたの。だから撮りたいの。青春を写真に収めたいの。切り取って、私の青春はちゃんとあったんだって思い出にしたいの」


そう言った三日月さんの横顔は、嬉しそうに、だけど悲しそうに微笑んで見えた。


「でもまた、写真撮ろうとしたらフラついちゃって倒れるかもしれないでしょ? それを向葵くんに支えてほしいんだ」


夜空に流れる、たくさんの流星群。

それは、いつ止まってしまうか分からない自然現象。


「ダメかな……?」


遠慮気味に眉を下げて僕に尋ねる。

だから、いやだ、とは言えなくて。


「……いーよ」


小さく頷くと、


「よかった」


そう言って嬉しそうに笑った。


僕は、断らなくてよかったと心底そう思ったんだ。