ちょっとだけやり返してやりたい衝動に駆られた僕は、
「三日月さんも飲んでみたら? これ、開けてから時間経つと違った味に変わるらしい、って裏の方に書いてあったよ」
ちょっと意地悪なことを言ってみた。
すると、そうなの?首を傾げたあと、まじまじと缶ジュースを見つめる。
飲もうか飲まないか悩んでるのかな。
と、思っていると、缶を口元に当ててゴクリと一口飲む。
「うえ〜、おいしくないじゃん……っ!」
案の定、顔を歪めて舌をベーッと出すから、僕はしてやったりな気持ちで、笑ってしまった。
「もしかして向葵くん嘘ついたの! 私にこれを飲ませるために!?」
怒りながら詰め寄る彼女に、あーバレた、とシレッとして答えると「んもーっ」と言って僕の肩を揺するから「ちょ、危ない」咄嗟に右手でジャングルジムを掴む。
「向葵くんって結構意地悪!!」
なんて言ってプイッと顔を逸らすから、
「それはお互い様でしょ」
また笑ってしまいそうだったけれど、グッと堪えた。
だって、今度こそ三日月さんにここから落とされそうな気がするから。
しばらく彼女の怒りが収まるまで、黙って複雑な味のこれを飲み干すとしよう。