隣でカチャッ、とプルタブを開ける音がして、つられて僕もプルタブに中指を引っ掛けて開ける。
暑い外を歩いて来たからのどが乾いていた僕は、一口飲んだ。
すると、のどをしゅわしゅわっと通り抜ける炭酸とすっぱいのと甘いの。
けれど、おいしいというよりも。
「……何味なの、これ」
「梅ソーダハニーってやつ。おもしろそうだったから買ってみたんだけど、どう? おいしい?」
「複雑な味」
すごくまずいわけではない。けれど、飲みたいわけでもない。
思わず顔を歪めると、プハッと笑う。
「そんなにおいしくないんだ?」
「……じゃあ飲んでみたら」
こんなおいしいかも分からない梅ソーダハニージュースを買ってきた三日月さんは、僕の反応を見て楽しんでいる。
ゴクリ、一口飲むと、うげー、と顔を歪めた。
「しゅわしゅわした炭酸のはずなのに喉越しが梅だぁ。しかもあとからハニーの甘さが……」
僕よりもおいしくなさそうに飲むから、さすがの僕もおかしくなって、
「じゃあなんで自分のまで同じやつ買ったの。せめて違うの買えばよかったのに」
笑いを堪えながら尋ねると、だってぇ、と顔を歪めて、
「向葵くんだけおいしくないのは可哀想でしょ? それに二人とも同じやつ飲んだ方が楽しさアップするかなぁって思って…」