風呂やご飯を済ませたあと、タイミング良くメッセージが届いた。

【二〇時に三角公園で待ち合わせ】

僕はそれに二つ返事で返すと、母さんにちょっとコンビニに行って来ると嘘をついて家を出た。


家から三角公園までは徒歩で十分ほど。

思いのほか早く着いて、入り口で待っていた方がいいのかなと迷っていると、ジャングルジムのてっぺんが一瞬キラッと光った。


「もしかして……」


おそるおそる歩み寄ると「あっ」僕へ気づいた彼女が声を上げる。


「意外と早かったね、向葵くん」

「そっちこそ……」


もしやメッセージを送ったときからすでにここにいたとかじゃないよな?


「いつからそこにいたの?」


「んーと」顎の下に指を当てながら空を見上げて、しばらく考えたあと、


「たしか二〇分くらい前だったかな」


ということは、残りの十分は一人でここにいたってことになる。


「さすがに危ないでしょ……」

「えー、なに。もしかして私のこと心配してくれてるの?」


からかうような声色がジャングルジムのてっぺんから落ちてくる。
やけになった僕は「そうだよ」なかばムキに返事をしながら、ジャングルジムに登り始める。


「いくら公園が明るいからってさすがに女の子一人じゃ危ないでしょ」