まあ、確かに僕だってわざわざ夜に空を見に行くなんて思う人じゃなかった。
今だって、三日月さんほど見たいわけでもない。
けれど、うしかい座流星群とやらがどんなものなのか見てみたい気はした。
勝手に何かを自分の中で納得させるように、うんうん、と頷きながら、
「向葵くんがそう言うならぜひ一緒にうしかい座流星群、見に行こう!」
僕の気が変わらないうちに決めておこうとでも思っていたんだろうな。
ていうかそれ、
「僕じゃなくて三日月さんが言い出したんでしょ。なに、僕が言い出したみたいな言い方してるの」
「同じようなものでしょ?」
「いや、全然違うから」
勘違いしないでほしい。僕は、三日月さんの口車に乗せられただけのようなもんだ。
言うなれば、うまいセールに引っかかってしまったカモのような僕。
それなのに「堅いことは言わないで」と僕が、駄々をこねているみたいに言う三日月さんに納得できなかったけれど、
「とにかく二〇時前に集まろう! 待ち合わせ場所はあとでメッセージするから、ちゃんと見てよね!」
僕に拒否権なんてものは始めから用意されていなかったんじゃないかと、そう思った。