そんな僕を、後ろで「ちょっと待ってよー」言いながら、パタパタと足音を立ててついて来る。


なんだこれ、なんだくそっ……

まるで、不意打ちを食らった気分だ。

こんな気持ち僕のじゃない。誰かが僕に成り済まして、僕の心に干渉しているに違いない。


「それでいいの? ダメなの? 結局どっちなの?」


僕の隣でしつこいくらいに尋ねる彼女は、流星群を見ることを諦めてはいないらしい。

僕たちの温度差は計り知れなくて、はあ、と小さくため息をついたあと、


「なんでそんなに見たいの?」

「だって、うしかい座流星群なんて滅多に見られるものじゃないんだよ!? だったら見れるときに見ておきたいってふつうなら思うでしょ」


彼女にとってそれがふつうでも、僕にとってそれがふつうではない。

だから頷くことはできなくて、ふーん、と適当に相槌を打つと、それに、と続けた彼女は、


「流星群見てお願いしたら願いが叶うかもしれないんだよ? だったら一度くらい大きな願い事してみたいなーって思うの!」


さっきよりも声色を弾ませるから。


「じゃあそっちが本音なんだ」


僕が図星をついたことで照れくさくなったのか、えへ、と頬をかきながら目を細めた。

その瞬間、頬もほんのりと染まる。