「んー」腕組みをしながら考える小武が、「あっ!」声をあげて、僕の隣の席で女の子たちが雑誌を開いているところに割って入った。
何してるんだろう、思いながら目の前の視線の方が気になって目線を下げていると。
「じゃあさ、この中なら誰がタイプ?」
突然、バサッと机の上に雑誌を広げられるから、え、と困惑して固まる僕。
さっき女の子たちからこれを借りたのか?
「べつに好きじゃなくてもこの人いいなって思う人くらいは分かるだろ?」
「え? いや、まあそうかもしれないけど…」
そもそも何で僕がそんなことしなくちゃならないんだよ。
「ほらほら、早く選べって」
固まる僕をからかうように藍原が声をかけるから、あーもう鬱陶しいな、そう思って、適当に雑誌の中に指をさす。
そこには僕の意思なんて反映されていなかったけれど、
「へえ、茅影は可愛い子がタイプなんだな」
小武が、僕が指さした子を見て推理する。
つられて雑誌をまじまじと見る僕。なるほど、こういう子が可愛いタイプに含まれるのか、僕は初めて気づく。
「じゃあさー、やっぱ三日月さんも可愛いって思う?」
なんて突然、雑誌とは全く無関係な話題に切り替わるから、さすがについていけず「は?」思わず声がもれる。