すると「はぁ?」と顔を真っ赤にした藍原が、


「そっ、んなこと、言ってねぇーだろうが!」

「恥ずかしがるなって。つーか、いい加減、友達になりたいからってスパッと言えよ」

「思っ…てねぇよ!」


まるで蚊帳の外の僕は、小武の言葉に鳩に豆鉄砲を食らった気分になって二人を交互に見つめる。


「ったく。素直じゃねぇなぁ」


小武が、藍原を見て笑う。その藍原は、なぜか恥ずかしそうで。

「う、うるせー」言った藍原は、照れくさそうにムスッと唇を尖らせながら腕を組んで、壁に背を預けた。

ていうか全然僕だけ分かってないことも不満なんだけれど、そんなことよりも、


「……まだ、ここにいるつもり?」

「そうだけど、何か不満?」


「いやっ、何かって…」口ごもる僕を、じーっと見つめる小武。
その視線の端に藍原もチラッと見えた。


「ほら、僕今から本読むし……」


なーんか気まずくて、目線を下げる。

今までなら藍原はすぐ僕の前から去っていくはずなのに。


「そー言わずにたまには話でもしようよ」

「え、話?」


僕となんの話をするって。僕なんかと話したって大しておもしろくもないし、合う話があるとも思えないし。


「例えばさぁ、恋愛の話とか」


告げられて、え、と驚いた僕は目を点にする。