「だって、なんか、はしゃいでるから…」
よっぽど楽しいんだろうな、そう思っていると、フンッ!と効果音でも出そうなほど、勢いよく前を向いた。
怒らせたのかな、と心配していると、
「……だって、楽しいんだもん」
ボソッと聞こえたその声は、少し遠慮がちに聞こえる。
「楽しい?」
僕の声に、うん、と頷いたあた、
「こんな青春したかったから」
彼女の横顔しか見えなかったけれど、その横顔が、ほんのりと染まって見えた。
その表情を見て、それが伝染するようで、
「そ、そっか」
僕の顔まで熱くなった。
なんだこれ。
同じ時間を共有して、同じ感情まで共有してるみたいで、少し照れくさくなる。
けれど、僕は思った。
「三日月さんの気持ち、少しだけ分かる気がする」
そう言葉を紡ぐと、え、と困惑した声をもらしたあと、一瞬僕の方をチラッと見た彼女。
「なんか、今までの僕は空を見上げることもなかったし四つ葉のクローバーを探すことだってなかった」
そんなこと考えたこともなかったし、なんなら、周りがしている青春なんてバカみたいだと見下していた。
でも。
「これが青春なのかなって、少しだけ…」
言いかけて、口ごもる。