プリント作業が終わったのは、十八時を回っていた。

途中、休憩をしたからこんな遅くなったんだ。

高校生に入ってから、こんなに帰りが遅くなったのは初めてかもしれない。

急ぎ足で教室へと向かった。


「………え?」


そしたらなぜか教室に人影が見えた。それも、僕のかばんを置いてある席に。

……誰だろう。顔を伏せているからよく見えない。
けれど、それが女の子、であることだけは瞬時に分かった。

寝ているのだろうか。ちっとも身体が動かない。起こさないように僕は、ゆっくりと足を進めた。


ようやく顔が見える位置まで歩いて「あ」思わず声をもらす。

だって、僕の机に寝ていたのが三日月さんだったから。


「……なんで」


確かにさっき僕は、彼女宛にメッセージを送ったはずで。


慌ててポケットに入っているスマホを掴んで、確認する。と、やっぱりちゃんと送信されていた。
それに、既読がついていて、【分かった】と返信も届いていた。おかしなスタンプ付きで。

それなのにどうして三日月さんがここに……?


僕を待つ理由なんか何一つないのに、僕を待ったって得はしないはずなのに。