なんて上の空で考えていると、だからね、と続けると、
「女の子って意外とロマンチストなんじゃないかな」
ロマンチスト……?
青春してみたいって言ってただけの、あの三日月さんが?
なんだかそれが似合わなすぎておかしくなって、心の中で笑っていると。
「どうせ、それ好きな子からもらったとかでしょ」
僕が持っている栞を指さしながら、ニヤニヤ笑うから「はっ?」思わず声がもれる。
「あれ、もしかして図星かな? でもまだ告白はできてない感じとか?」
「……いやっ、違うから!! どっちも合ってないから!」
ほぼ初対面の彼女は、三日月さん同様にズケズケと話しかけるから僕の方が困惑してしまう。
最近の女の子ってみんなこうなのかな……
「とにかく僕、もう行くから!」
僕が三日月さんに告白なんてするはずないだろ。
……ほんと、バカなんじゃないの。
何が好きな子にもらっただよ。べつに三日月さんのこと好きじゃないし。
ほんとにそんなんじゃ、ない。
「……あー、くそっ……」
心がもやもや、どきどきして落ち着かなくて、頭を掻き乱しながら、廊下を急いだ。
そのあと職員室へ向かったけれど、しばらく変な動機と顔の熱は収まらなかった。