「僕が……」


……目で追ってた?

そんなバカな。そんなはずはない。

だって、ずっと一人が好きで一人でいることが楽だと思っていたのに……

でも、だからって、


「友達じゃ、ないし…」


友達になろう、なんて話は一切してない。


「だったら」言って、僕に向かって手を差し伸ばす。小武と、その手を交互に見つめる。


「友達になろうよ」


突拍子のない言葉に「え、は?」と思わず声をもらす。開いた口が塞がらないとは、まさしくこのことだ。


「嫌か?」

「そう、いうわけじゃない…けど…」


僕と小武が、友達……?

困惑して何も言い返せずにいると、じゃあいいじゃん、そう言って僕に手をさらに突きつける。


嫌ではなかった。

むしろ心が少しむずむずする。

僕の中では、友達っていう言葉が無縁で過ごしてきたから、照れくさいっていうのかな。


けれど僕は、


「……さすがに高校生になって握手は恥ずかしいでしょ」


ポツリと声をもらすと、確かに、と言って笑った小武。